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仮想通貨マイニングは本当に儲かるの?シミュレーションまとめ
2017年末にビットコイン(BTC)など仮想通貨の価格が上昇し、大きな話題となりました。また2018年に入ってから多くの日本企業が仮想通貨事業やマイニング事業への参入を発表して大きな注目を集めています。
特に仮想通貨マイニング事業に関しては、GMOインターネットが世界最先端の性能を有するASICマイニングマシンを開発・販売を発表した事で、仮想通貨のマイニングに興味を持たれた方も多いのではないでしょうか。
実際にマイニングマシンを購入してマイニングを行う場合は、マシン購入費用などの初期費用が必要となりますが、今回はそれは一旦度外視して、単純に「マイニング報酬-電気代」で計算した場合の採算ラインとなる電気代はどの位なのかをシミュレーションしたいと思います。
日本国内でマイニングを行った場合は利益出るの?
例えば日本国内でマイニングを行った場合、どれだけの利益・儲けが見込めるのか、ザックリとですがシミュレーションしてみたいと思います。
仮想通貨の代表格といえばビットコイン(BTC)ですよね。ビットコインのマイニングのスタンダードと言えば2018年8月現在では恐らくBitmain社が販売している「Antminer S9」でしょうか。このASICマシンで使って日本国内でマイニング(採掘)を行った場合のシミュレーションとなります。
bitmain「Antminer S9」性能

ハッシュパワー | 14Th/s |
消費電力 | 1375w |
尚、ビットコイン価格は2018年8月1日現在の価格で計算を行います。電気代は東京電力の電気代で行った場合のシミュレーションになります。
ビットコイン価格 | 840,837円 |
1KWあたりの電気代 | 東京電力平均の32円で計算した場合 |

東京電力マイニングのシミュレーション計算結果
1日あたりマイニング量 | 493.21円 |
1日あたり電気代コスト | -982.76円 |
1日あたり利益 | -489.55円 |
この条件で計算を行うと、1日辺りの利益はマイナス489.55円、1週間稼働すると3175円のマイナスです。1カ月稼働すれば1万2981円の赤字という事になりますね。このシミュレーション結果を見れば一目瞭然ですが、東京電力は電気代本当に高いんですよね。今は電力自由化の時代ですから、もっと安い電力会社を選んだ方が良いと思います。そこで、マイニング事業への参入も発表している「熊本電力」の電力プランでシミュレーションしてみたいと思います。ちなみに東京電力は「1kwあたり30.2円」ですが、熊本電力は「1kwあたり23.4円」です。
ビットコイン価格 | 840,837円 |
1KWあたりの電気代 | 熊本電力平均の23.4円で計算した場合 |

熊本電力マイニングのシミュレーション結果
1日あたりマイニング量 | 493.21円 |
1日あたり電気代コスト | -772.20円 |
1日あたり利益 | -278.99円 |
赤字こそ減りましたが、比較的電気代が安いと言われる熊本電力のプランを利用しても1日あたり278円の赤字となってしまいました。稼働すれば稼働する程マイナス収支になってしまいますので、やはり日本ではマイニングを行うのは不向きであるという事は理解出来ると思います。
日本でビットコイン(BTC)をマイニングする場合の損益分岐点は?
2018年8月1日時点のビットコイン価格が「84万円前後」ですので、この価格で損益分岐のラインを出す為には、「電気代は最低でも1kwあたり15円以下」でないと利益が出ない計算となります。
勿論、ビットコイン(BTC)の価格がもっと上がれば利益を出すことは可能ですが、いずれにしろ電気代の安い国で稼働した場合と比べ、利益は大きく下がってしまう事になります。
日本はマイニングに対して規制などが無く、マイニングし易い国ではあるのですが、電気代がどうしてもネックとなりますね。では、どの国でマイニングを稼働すれば大きく儲ける事が出来るのでしょうか。
マイニングするなら重要!!電気代の安い国ランキング

2018年2月に各国政府及び地方公益事業会社や国際エネルギー機関んはどのレポートデータを集計し、IBTimesが各国のマイニングに必要な電気代をまとめています。
電気代が1番安い国ランキング
- 【1位】ベネズエラ 58,410円
- 【2位】トリニダード・トバコ 130,900円
- 【2位】台湾 130,900円
- 【4位】ウズベキスタン 196,680円
- 【5位】ウクライナ 203,720円
電気代が高い国ランキング
- 【1位】韓国 2,878,700円
- 【2位】ニウエ 1,932,260円
- 【3位】バーレーン 1,845,030円
- 【4位】ソロモン諸島 1,782,990円
- 【5位】クック諸島 1,744,710円
※1ドル=110円で計算表記
世界一電気代の安い南米のベネズエラでは1ビットコインあたり僅か5万8410円程で採掘する事が可能となります。例えば、2018年8月1日時点のビットコイン価格「84万円」だとしたら、1ビットコインを採掘する度に「78万円の利益」が出る事になりますね。ベネズエラでマイニング出来たら凄い事になりそうです。
逆に世界一電気代が高いのがお隣「韓国」です。韓国では、例えビットコイン価格が「287万円」まで上昇したとしても、マイニングを行えば赤字となってしまう訳です。マイニングを絶対にやってはいけない国です。
では、世界基準で見た場合の日本の電気代と、マイニング先進国といわれる中国ではどの位の違いがあるのでしょうか。
- 【33位】日本 959,750円
- 【18位】中国 348,920円
日本は1BTCを採掘するのに必要な電気代が959,750円です。つまりビットコイン価格が「96万円以上にならないと利益が出ない国」とも言えますね。勿論、熊本電力のような電気代の安価なプランを利用すれば、もう少し低いコストになるとは思いますが。
マイニング先進国の中国の場合は、1BTCを採掘するのに必要な電気代が348,920円なので、日本よりもコストが3倍近く安い計算になります。これを顧みても、やはり日本はマイニングに向いていない国という事が浮き彫りになって来たのではないでしょうか。
マイニング規制が厳しい国も存在します

では、電気代が安い国【1位】であるベネズエラでマイニング(採掘)を実際に行えるのかというと、それは難しいでしょう。南米ベネズエラは治安が悪い上に、政府が取り締まりなどを強化しているそうです。ベネズエラではマイニング自体が違法な訳ではありませんが、同国秘密警察や諜報機関である「SEBIN」が電力使用量を監視しており、異常値が検出されると強制捜査に入るそうです。またベネズエラといえば落雷などの被害も多い国です。マイニングマシンが落雷によりショートしてしまう可能性もあります。何も知らない日本人がベネズエラへ行ってマイニングを行える環境には無いと考えるべきかもしれません。
マイニングに最適な国の条件まとめ
- 電気代が安い
- 規制が緩い
- 土地代が安い
- 人件費が安い
- 機器搬送の費用が安い
- 気候が寒冷
- 治安が良い
以上の条件を考慮すると、何故中国がマイニング先進国となったのかが理解出来ると思います。殆どの条件をクリア出来たのが中国だったからです。2017年の年末にはビットコインのマイニングに使用された演算資源の約8割近くが中国からのものだった事が判明して大きな話題になりました。
しかし、その中国でも2018年1月にマイニングの規制をされる事となりました。
マイニングはインターネットに接続出来る環境と、マイニングマシンを稼働する為の電力さえ確保出来れば、世界中のどこからでも参加する事が出来ます。しかし、電気代が安くても規制が厳しい国もあれば、日本のように電気代は高いけど規制の緩い国もあります。どの国でマイニング運用をするのが一番効率が良いのか、その課題をクリアする事が出来れば、仮想通貨マイニングは「現代のゴールドラッシュ」と成り得る投資となる事でしょう。