マルタ共和国が仮想通貨大国へ

マルタ共和国

2018年に入ってから、世界中の仮想通貨交換業者が地中海の島国「マルタ共和国」へ拠点を移し始めた事で大きな注目を集めているようです。今や1日あたりの取引量は1100億円を超えており、世界最大にまで成長しています。

何故、マルタ共和国が仮想通貨大国へ?

マルタ共和国 地図

マルタ共和国は元々、イギリス連邦及び欧州連合(EU)の加盟国であり、使用されている通貨はユーロです。場所は地中海に位置する島国で、所謂「ミニ国家」の一つ。地中海に浮かぶ島で欧州有数の観光地として美しい街並みが特徴の国となりますが、税率が低い租税回避地であり、国を挙げて「仮想通貨事業」を育成・誘致を行っています。

マルタ共和国に移転した仮想通貨大手交換業者

バイナンス

2018年春に世界最大手の仮想通貨交換業者、香港の「バイナンス」が拠点をマルタ共和国に移した事を発端に、同じ香港の「オーケーイーエックス」も移転を発表。自由都市と呼ばれる香港から仮想通貨大手交換業者がマルタ共和国へ移転する事となりました。

更に仮想通貨に慎重だったポーランドからはビットベイが5月に移転を決定。人口40万人程の小さなミニ国家に、世界中の仮想通貨交換業者が集まっています。

マルタ共和国は規制が緩い

マルタ共和国トップの首相が、「ブロックチェーンの島」を自称する程、仮想通貨に好意的な見解を示しており、海外事業者を積極的に受け入れているようです。

例えば仮想通貨技術を活用した資金調達のICOは、仮想通貨先進国である中国が禁止し、韓国でも禁止されています。日本や英国などでもICO詐欺への注意喚起がされており、米国では有価証券にあたるとして厳しい規制が課されています。

しかし、マルタ共和国では、2018年に仮想通貨関連法にて「ICOを積極的に容認」「投資家が誤まった情報で被害を受けた場合は発行企業に損害賠償責任」などの明確な規定が決定されているそうです。これだけ明確な規定が法整備が進んでいれば、企業側もICOをし易くなります。尚、マルタ共和国は仮想通貨業を専門とする政府機関を発足する法も可決しています。

マルタ共和国は税率が低い租税回避地

マルタ共和国は法人税率が実質5%程度とされており、主要国家に比べて税率が低いです。欧州連合(EU)の加盟国でビジネスを進め易い立地に加え、税率が安い事が世界中の大手仮想通貨交換業者が移転を決定する理由となっているようです。

マルタ共和国は仮想通貨取引量が世界一

米国のモルガン・スタンレーが世界の仮想通貨交換業者200社を対象に調査・分析を行ったところ、2018年4月時点の1日あたりの取引量は、約10億ドルを超えて世界一。今後、地中海に浮かぶ石造りの風光明媚な街並みを誇るマルタ共和国は、仮想通貨業界の「中心地」として栄えて行く事になるのかもしれません。

2018年4月の仮想通貨取引量ランキング

  • 1位 マルタ共和国
  • 2位 韓国
  • 3位 中米ベリーズ
  • 4位 セーシェル
  • 8位 日本

マルタ共和国にビットコインATM設置

ビットコインATM

マルタ共和国のような小さな国の方が、仮想通貨の仕組みを取り入れ易い傾向があるようです。マルタ島のSliemaのタワーロードにある旗艦のクイックレッツオフィスにはビットコインのATMを設置してあり、マルタ共和国がビットコインを始め、仮想通貨の「中心都市」を目指す事へ積極的な姿勢を見せています。尚、マルタ島に設置されているビットコインATMは、ビットコインのみ取り扱う事が可能となっていますが、今後、他の主要アルトコインも売買可能になる予定だそうです。

このATMを開発するのはMoonZebraという企業で、このATMを利用する事で、取引所を経由することなく、仮想通貨の売買を現金などで行う事が可能となるそうです。尚、ビットコインATMはマルタ共和国の他にも、米国ワシントンやニューヨークなどの都市にも設置されているそうです。