ビットコインETFが承認されるとどうなる?

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アメリカ証券取引委員会(SEC)は2018年7月26日、ウィンクルボス兄弟が申請していたビットコインの上場投資信託(ETF)の承認を見送った事が報じられました。

仮想通貨の代表ともいえるビットコイン(BTC)のETF承認関連のニュースは世界中から注目されています。本ページではこの事について分かり易くまとめておきたいと思います。

ウィンクルボス兄弟とは何者か?

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ウィンクルボス兄弟とは仮想通貨の投資で巨万の富を築いたとされる世界最大のビットコイン所有者と呼ばれる程の有名人です。

ウィンクルボス兄弟はハーバード大学出身の秀才

ウィンクルボス兄弟は1981年生まれの双子のアメリカ人で、名前はテイラーとキャメロン、実在する人物です。ハーバード大学出身で、facebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグと深い関係があった事で有名でもあります。

ウィンクルボス兄弟はオリンピック出場経験も有り

ウィンクルボス兄弟は2008年の北京五輪の男子ペアボート種目で兄弟揃って出場し、6位の成績を収めています。ハーバード大学出身で、オリンピックに出場する程のアスリート、しかも今は世界的に有名な投資家ですから凄い兄弟ですね。

映画にもなったウィンクルボス兄弟のfacebook訴訟問題

ウィンクルボス兄弟が一躍有名となったのがfacebook訴訟問題です。ウィンクルボス兄弟はハーバード大学在学中に、後にfacebookのCEOとなるマーク・ザッカーバーグに「女性との出会いを目的としたハーバード大学専用コミュニティサイト」の製作を依頼した事が発端となります。

マーク・ザッカーバーグはこのコミュニティサイトのアイデアから、facebookの原型となるソーシャルネットワークサイト「The facebook」を立ち上げる事になるのです。ハーバード大学内で利用された「The facebook」は社会に大きく波及し、世界中の人々が利用するソーシャルネットワークに成長する事となります。

ウィンクルボス兄弟は元々は自分たちのアイデアだった事から、マーク・ザッカーバーグを「アイデア盗用」で訴え、2011年に訴訟に勝利し、賠償金6500万ドル(約71億円超)を獲得します。

尚、この事は2011年ゴールデングローブ賞最優秀作品賞に選出された映画「ソーシャル・ネットワーク」のモデルとなっています。

ウィンクルボス兄弟はビットコイン投資で億万長者へ

ウィンクルボス兄弟は訴訟で獲得した6500万ドル(約71億円超)の一部をビットコイン(BTC)へ投資。2013年当時は1BTCが約1万3000円前後の時に約12億円を投資し、現在は1000億円以上の資産を獲得した事となります。2018年2月7日にフォーブスが発表した「世界仮想通貨長者ランキングで4位」に入る程、仮想通貨投資で成功した兄弟となります。

ウィンクルボス兄弟はビットコインのETF上場を計画

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ウインクルボス兄弟は、米国証券取引所(SEC)にビットコインのETF認可申請を行いました。2017年3月の申請をSEC側は拒否しましたが、ウィンクルボス兄弟は再検討を求めて申し立てを起こし、SECはそれに応じる事となっていました。

そもそもETFとは何か?

ETFとは上場投資信託の事で、投資信託の多様性と株式の取引能力を組み合わせた証券の事です。もう少し噛み砕いて言うと、例えば日経平均のETFを1本購入すると、日経平均を構成する225銘柄を一気に購入するのと同じ事が出来ます。要は日経平均そのものに投資出来る仕組みです。

ETFには色々な種類が存在する

ETFの種類は、日経平均やNYダウだけではなく、中国株やブラジル株など新興国株などもあります。更に原油や金などの資源のETFやブル・ベア型(レバレッジ・インバース型)といったものなど様々なものが存在しており、それを株と同じように売買する事が出来るのです。

では、ビットコインETFとは何か?

ビットコインにおけるETFとは、仮想通貨ビットコイン(BTC)を原資産として、それに連動するものです。間接的にBTCを購入する方法であり、投資家は当該証券を保有するだけで、実際の仮想通貨を保管する必要が無い事となります。つまり、ハッキングなどに拠る仮想通貨流出などのリスクを避ける事が出来る事となり、これが承認されればウォールストリートなどの機関投資家などが参入し易い状況を作れると期待されています。

2018年7月のビットコインETF承認は拒否される

アメリカ証券取引委員会(SEC)は2018年7月26日に92ページに渡るレポートで説明、ビットコイン市場が「操作に対して本質的に耐性を持つ」というウィンクルボス兄弟の主張を退けられる形となりました。

2017年3月に続いて、ビットコインETFは2度承認されなかった事となります。ウィンクルボスの計画は2度失敗に終わる事となりました。しかし、今回の決定は全会一致ではなく、賛成派も存在した事が今後へ向けて大きな前進となったかもしれません。

ビットコインETFの今後の行方

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ウィンクルボス兄弟だけがビットコインETFを計画している訳ではなく、2018年1月は最低14件のビットコインETFまたは関連商品がSECで審理継続中である事が報じられています。

却下されたものもありますが、少なくとも現時点で5件のETF案件が協議中といわれています。ウィンクルボス兄弟が計画したETFはビットコインへ直接投資を伴う事を狙っていましたが、その他多くの申請はビットコイン先物契約にフォーカスしているそうです。

その中でも審査に近いETFは、投資企業バンエックと金融サービス企業ソリッドXによるビットコインETFとされていて、早ければ9月に審理される事になるだろうと一部メディアにて報じられています。

ビットコインETFがもし承認されたらどうなる?

ビットコインETFがもし承認される事となれば、世界中の機関投資家を呼び寄せる事になる可能性があります。何より、米国でグローバルな分散投資を実現した資産運用会社のバンエックがビットコインETFへ強い関心を示していますから、もしビットコインETFが承認される事となれば、ビットコイン価格や仮想通貨市場を大きく押し上げる可能性がありそうです。

またウィンクル兄弟もこのまま諦めるとは思えませんし、再挑戦する可能性もあるかもしれません。いずれにしろ、ビットコインETFの承認に関連したニュースには注目が必要そうです。

ウィンクルボス兄弟の今後の動向

【※2018年8月追記】

「ウォール街は仮想通貨に対して真摯に受け止めているが、ウォール街の大半の企業が仮想通貨市場へ参入するには至っていない。まだ一般の個人投資家中心の市場だ。これは時間と共に変化していくと考えているが、まだ時間がかかるようだ」

ウィンクルボス兄弟は2018年7月のSECに拠る、ビットコインETF拒否の決定に対して上記のように発言していますが、先日ウォール街で最も有名な企業の一つ、ゴールドマンサックスが仮想通貨管理サービスの提供を検討している事も報じられています。

SECなどの規制局がビットコインETFを承認する程に、不透明性などが払拭されれば、今後機関投資家からの資金は一気に流入してくると予想されます。この見解はSBIホールディングスの北尾氏も同じ見解を示していますし、ウィンクルボス兄弟の目指す仮想通貨業界の未来はそう遠くない未来に達成されるかもしれません。

ウィンクルボス兄弟は今後の取り組みとして、仮想通貨業界を政府の後ろ盾で規制するVirtual Commodity Association(仮想コモディティ協会)の立ち上げを米国政府に提案するなどの活動を続けるそうです。