2018年は仮想通貨業界において様々な問題や不祥事が起きましたが、そんな中でも多くの企業が仮想通貨事業への参入を発表しています。その中でも日本を代表するIT大手が続々と参入を表明、その将来性の高さに大きな期待が集まっています。
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LINE(ライン)が新仮想通貨「LINK(リンク)」で目指す新経済圏

無料通話アプリを展開するLINE(ライン)は、独自の仮想通貨「LINK(リンク)」の取り扱いをグループ会社が運営する「BITBOX」が開始する事を発表、日米を除く海外で取引が可能で、国内でも仮想通貨交換業者の登録申請を準備中です。
LINEの出沢剛社長は仮想通貨の基盤技術であるブロックチェーンを「スマートフォン登場に匹敵するパラダイムシフト」と考えており、次の成長分野として捉えています。また、現時点でグローバルで圧倒的に強いプレーヤーは居なく、チャンスのある領域とも発言。ブロックチェーンを活用した新たな経済圏や5つの新サービスを構想中です。
特に興味深いのが通販サイトで仮想通貨による決済ができるようにしたり、利用者が技術者に報酬を支払うといった自社サービスへ展開する点でしょうか。
仮想通貨へ参入を表明している代表的なIT大手企業
■LINE
独自の仮想通貨「LINK(リンク)」を発行し日米を除く仮想通貨交換サービスを提供。日本でも交換業者登録申請中
■ヤフー(Yahoo!)
仮想通貨交換業者「ビットアルゴ取引所東京」に出資
■楽天
仮想通貨交換業者「みんなのビットコイン」を買収
■サイバーエージェント
自社サービスで使える独自の仮想通貨の発行を検討中
LINEだけでは無く、他のIT大手も仮想通貨事業の将来性を強く見込んで続々と参入を表明しています。例えばヤフー(Yahoo!)は2018年4月に子会社を通して、仮想通貨交換業「ビットアルゴ取引所東京」へ出資した事を表明しています。また楽天は2018年8月に仮想通貨交換業「みんなのビットコイン」を2.6億円で買収する事を発表し、大きな注目を集めています。
楽天はネット通販やフリーマーケットアプリの「ラクマ」などで、仮想通貨による決済需要が高まると見込まれています。
金融庁も新規参入企業を歓迎?!

金融庁としても大手企業が仮想通貨事業へ参入する事は歓迎しているそうです。というのも2018年1月に起きたコインチェックの不正流出事件を受けて、仮想通貨交換業者のリスク対策が不十分な運営が浮き彫りとなった経緯があります。
業務改善命令の結果、みなし業者は16社から3社に激減しましたが、それでも2018年9月にはテックビューロ社が運営する「ザイフ」でもハッキングに拠る不正流出が発生しました。
こういった経緯を受けて、金融庁としても大手企業が参入する事で改革が進むなら歓迎すべきと考えているようです。不正流出を防ぐ事で仮想通貨業界は大きく成長する可能性が高いとも受け取れるかもしれません。
また、ブロックチェーン技術を育てる為にも仮想通貨業界のコンプライアンス強化は今後一層求められる事でしょう。体制構築のコストは増しており、体力が無い企業は統廃合が進む事が予想されます。IT大手が参入する事で、仮想通貨業界の未来は相当明るいものとなるのではないでしょうか。
仮想通貨業者も預金や国債保有義務化へ
更に日本仮想通貨交換業協会が、会員各社に対して仮想通貨盗難リスクに備えて預金や国債などの安全資産の保有を義務付ける方向で検討している事を一部メディアが報じています。
これは2018年9月に発生した仮想通貨取引所「ザイフ」の流出事件で、運営するテックビューロが自己資金で利用者に補償する事が出来なかった事を金融庁が問題視していた事を受けて、仮想通貨交換業協会が自主規制に盛り込む事となったようです。
具体的な内容としては、オンライン環境で利用者から預かった仮想通貨の秘密鍵を管理する場合は、ハッキングによる秘密鍵の喪失リスクを評価した上で、当該リスクに見合った額を銀行預金や国債、地方債などの安全資産で保有するよう義務付けるとの事。
この自主規制原案では、利用者から預かった仮想通貨が流出した場合に備えて、損害賠償方針の明記を義務付ける事も盛り込まれているそうです。
尚、仮想通貨交換業協会は、金融庁に登録済みの仮想通貨交換業者16社で構成されていて、現在は金融庁へ資金決済法に基づく自主規制団体に認定するよう申請しています。これが認定されれば、自主規制ルールが各社に適用され、協会による会員各社への処分も可能になるそうです。
上場企業が続々と仮想通貨事業への参入を発表

2018年は上記のIT大手企業以外にも、様々な業種、企業から仮想通貨事業への参入表明が続いています。仮想通貨交換業へ新たに参入する意向の企業は約160社と相当な企業が仮想通貨業界の将来性を強く見込んでいる事となります。
仮想通貨事業参入の意向を表明している上場企業 まとめ
アイフリークモバイル | 2018年6月の株主総会で定款の一部を変更、「仮想通貨交換業」「金融商品取引業」などの追加を発表 |
アクロディア | 携帯電話ソフト開発が主力・仮想通貨マイニングファーム設営を発表 |
アドウェイズ | 2018年6月の株主総会で定款の一部を変更して「仮想通貨関連業務」「ブロックチェーン技術を利用した業務」「資金決済法に基づく仮想通貨交換業」を追加 |
AppBank | ゲームや動画などのコンテンツ上で仮想通貨を配布するプラットフォームの提供を開始 |
エイベックス | 2018年6月の株主総会で定款を一部を変更して「仮想通貨交換業」や「有料職業紹介業」などを追加 |
マネーフォワード | 新たな子会社を設立。主な事業内容は「ブロックチェーン・仮想通貨に関するメディア事業と仮想通貨交換所の運営」 |
やまねメディカル | 2018年6月の株主総会で定款を一部変更して「仮想通貨の交換業及び仮想通貨に関する販売所・取引所の運営、管理」を事業目的に追加 |
ルーデンHD | 不動産事業が主力・Blockshine社と電子トークン「ルーデンコイン」の発行委託に関する業務提携契約を締結したことを発表 |
この他にも2018年9月に約70億円相当の仮想通貨が流出した仮想通貨交換所「ザイフ」を運営していたテックビューロが、金融支援を表明していたフィスコに事業譲渡する事を決定しています。
上記に挙げた以外にも、多数の企業が仮想通貨事業への参入意向を示しています。LINE社長が言うように、現時点ではまだ大きなチャンスがある分野という事なんでしょう。IT大手企業を始め、多くの企業が参入する事で仮想通貨がより多くの人に認知される事となれば、仮想通貨の市場規模はとんでもなく大きいものになる事でしょう。SBIグループの北尾氏が明言しているような「20兆ドル市場」となる可能性も有るかもしれません。
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