仮想通貨の代表的な通貨といえばビットコイン(BTC)ですが、大きな弱点があるといわれています。それが「送金詰まり」「スケーラビリティ」問題です。
本ページでは、その詳細と主な解決策などをまとめたいと思います。
目次
ビットコイン(BTC)の送金詰まりの原因まとめ

ビットコインの各ブロックの容量は1MBしかありませんが、世界中で取引量が増える事で、現時点のブロック容量ではネットワーク上の取引数を対処出来ないといった問題が発生しました。
その結果、ビットコイン・ネットワークへの取引台帳への書き込みが、ユーザーの取引作成より遅いペースで行われる事となりました。未承認取引(未確認トランザクション)が多くなると、取引台帳のブロックへ格納されるまで「時差」が生まれる事となります。
これが数時間にも及ぶ事で俗にいう「送金詰まり」の状態となりました。取引を即座に反映させる為には高い手数料を払う必要が出てきました。世界中へ早く安く送金出来る筈のビットコインが、「遅く」「高く」なってしまう矛盾が発生したのです。
下記グラフはビットコイン(BTC)の取引が盛んだった2017年12月の「未確認トランザクション」の数を表したグラフとなります。グラフが上へ伸びる程、「送金詰まり」が発生している状況となります。

この「送金詰まり」が起きると、通貨としての信用度が下がる事となり、通貨の価値も大きく下落する事となります。
つまりスケーラビリティ問題とは、ビットコインのようにブロックサイズが決まっている事で生じる問題です。一つのブロックに対して書き込める「トランザクション」の数が決まっている為に、取引の数が許容量を超えてしまった時に取引の処理に遅延が発生してしまう事を指します。
特にビットコイン(BTC)は一番最初に出来た仮想通貨ですから、他の仮想通貨に比べてブロックサイズの容量が小さく、将来的にビットコインが「通貨」として日常的に使われる事となった際には大きな問題となる事が予想されます。
これを打開する為にいくつかの技術的な解決策が考えられました。
ビットコインのスケーラビリティ問題の技術的な解決策

ビットコイン(BTC)の「送金詰まり」「スケーラビリティ」問題の解決策は技術者や大手マイナー(採掘者)などで何度も議論されて来ました。その中でも代表的な解決策をいくつか紹介したいと思います。
ソフトフォークとは
ソフトフォークとは、条件を厳しくするもので、従来のものに新たに規則を加えるアップグレードのようなものです。このアップグレードでブロックチェーンが永久に分裂する訳ではないので、通貨としては今まで使っていたものをそのまま使用する事が出来ます。
ハードフォークとは
ハードフォークは、従来の規則を完全に無視した上で新たな規則を加える事となります。従来のブロックチェーンとの互換性が無い為、ブロックチェーンは永久に分裂する事となります。つまり「アップデート前の通貨」と「アップデート後の通貨」で別の通貨が誕生する事となります。
ビットコイン(BTC)とビットコインキャッシュ(BCH)は、2017年にこのハードフォークを行う事で分裂し、別の通貨として扱われる事となりました。ビットコインキャッシュ(BCH)はブロックの容量を大きくする事で、スケーラビリティ問題を解決したとされています。
Segwit(セグウィット)とは
Segwit(セグウィット)とは、スケーラビリティ問題の中で技術者たちが議論を重ねた解決策の一つです。「取引サイズの圧縮」を行う案です。
取引容量が足りないなら大きくすれば良いと考えがちですが、逆の発想で小さく圧縮を行う考え方となります。具体的にはトランザクションごとに行っている電子署名を他の場所に保管する事で、ブロック内に空きを作り、ブロックサイズを小さくします。しかし一度Segwit(セグウィット)を行えば、以前の状態に戻すことが出来ないデメリットもあります。不具合が発生してしまった場合、ブロックチェーン自体に不具合が発生してしまう可能性もある訳です。
ライトニングネットワークとは
他にも有力な解決方法として「ライトニングネットワーク」があります。こちらは正規のブロックチェーン上ではなく、オフチェーンと呼ばれるブロックチェーンの外でデータをやり取りする技術の事です。
つまりオフチェーン上でトランザクションをまとめてから、効率化されたものをブロックチェーン上に送る手法です。このライトニングネットワークの導入にはSegwit(セグウィット)の導入が必要となります。
ライトニングネットワークはビットコインを次世代型通貨へ進化させる技術として大きな注目を集めていますが、チャネル開設などでブロックサイズを使用する問題や、中央集権化になりやすい傾向などもある為、デメリットの部分もありますが、大きく期待されている技術です。
また、他にもビットコイン(BTC)が採用しているコンセンサスアルゴリズムには「51%攻撃」などの弱点が有るといわれています。