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GPU(グラフィックボード)とは
GPUとは「Graphics Processing Unit」の略で、パソコンの画像描写の計算処理を行う半導体チップ(プロセッサ)の事を指します。
PCに搭載されている半導体チップは基本的には頭脳にあたるCPUが有名ですが、GPUは画像の計算などに特化しているサブ頭脳的な役目を担っており、3Dグラフィックス描写や高画質な動画を描写する為に必要で、動画の編集やPCゲームなどで活躍するチップとなります。
基本的に高性能なGPUはとても高価ですが、その分計算能力も高いのは間違いありません。仮想通貨のマイニングなどで活用出来るという事で、一部のGPUでは需要増加に伴い品薄状態になる事もありました。
GPUがマイニング(採掘)に適している理由

3Dグラフィックなど画像描写処理を行う半導体チップであるGPUが何故、仮想通貨のマイニングで活用されているのかについては下記のような理由があります。
マイニング(採掘)におけるハッシュ関数の演算処理は、CPUよりもGPUの方が得意
ハッシュ関数と言うのは、入力されたデータに対して値を返すようなものですが、基本的には単純な計算処理となります。GPUはCPUに比べて、単純な演算処理を高速で行う事が得意です。
GPUは単純な演算処理を並列で行う事に優れている
複数の計算を同時に行う事が出来るGPUは、マイニング(採掘)のハッシュ関数演算処理を「より効率的に」行う事が出来ます。また、GPUのほうがより高性能な場合が多く、マイニング(採掘)を行う際にはGPUを活用される事が殆どとなりました。
GPUマイニングが世界中で流行したキッカケ

仮想通貨のマイニング(採掘)が世界的に流行した「キッカケ」となったのが、この「GPUマイニング」が有ったからと言っても過言ではありません。
最初の仮想通貨であるビットコイン(BTC)が誕生してから1年少々経った2010年に、GPUを用いたビットコインのマイニング(採掘)を行う為のコードが世界中に拡散しました。それが「キッカケ」となり、世界中でPCの余ったリソースを活用して採掘を行うマイニングが広まりました。
その中でも一部のコアユーザー達は、より効率良くマイニング(採掘)を行えるよう試行錯誤を開始、グラフィックカードをマザーボードの上に取り付けPCIE延長ケーブルに接続された「リグ」を作成するなどの工夫が世界中で行われました。

画像のような「リグ」作成など、こうした試行錯誤を経て、世界中のマイナー(採掘者)達は計算能力を高め、多様な適応方法でマイニング(採掘)を行っていました。
2013年にASICと呼ばれるマイニングに特化したマシンが市場に参入する事で、マイニングの計算能力はより高度な争いへと発展する事となります。
GPUマイニングとASICマイニングどっちがオススメ?

より高性能なGPU(グラフィックボード)やASICマシンが登場すれば登場する程、採掘が難しくなる。例えばビットコイン(BTC)の採掘アルゴリズムは「SHA256(シャニゴロ)」ですが、処理能力の高いBITMAIN社が開発した「Antminer S9i」が登場してからは状況は一変、GPUマイナーには厳しい状況が訪れる事となりました。
ビットコイン(BTC)などのマイニングにはASICマシンの方が有利な状況となりましたが、例えば他のアルトコインの出現などで、GPUチップの方が有利になるアルゴリズムも存在する事となりました。
こういったアルゴリズムを「ASIC耐性」と呼んでいます。
「ASIC耐性」とは?
「ASIC耐性」とは、「ASICマシンを作成する事が出来ない」「ASICマシンを作成しても意味が無い」という事になります。
何故、こういった「ASIC耐性」が必要になるかというと、マイニングの中央集権化を防ぐ為でもあります。仮想通貨は基本的には「非中央集権化」を目指した通貨であり、一部のマイナーだけが力を持ってしまっては意味がありません。特にビットコイン(BTC)には51%攻撃などのリスクも存在しています。
※ビットコイン(BTC)が採用しているコンセンサスアルゴリズム「POW」は世界の演算51%以上を占有すると改ざん内容をそのまま承認してしまう恐れがあるとされています。
GPUとASICのメリットとデメリット 比較
ASICマシンのメリットとしては、やはり特定のアルゴリズムではGPUに比べて演算能力で上回っている点が挙げられます。しかし、GPUに比べると幾つかのデメリットも存在します。
- ASICマシンは初期費用が高い
- 対応のアルゴリズム意外は採掘出来ないので、対象の通貨価格が下がった場合に利益が出ない
- 他の用途が存在しない
などが挙げられますね。ASICマシンはGPUに比べて高額ですし、初期費用がとても大きく掛かってしまいます。そしてランニングコスト(電気代)以上に採掘が出来ない状況になると、他のアルゴリズムへ鞍替えする事が出来ないと言ったデメリットも存在します。例えば「ビットコイン値段下がったから、イーサリアム採掘したい」といった事が出来ない訳ですね。
また、マイニング自体を止めたいと思っても、GPUならゲーム用途や動画編集用途など使い道がありますが、ASICの場合はただの粗大ゴミになってしまう可能性が有る訳です。中古で販売するにしても相当ニッチな需要となる事を覚悟しなければなりません。
例えば大規模なマイニング工場を設営するのならばASICマシンで集中的に稼働する方が効率的でしょうが、個人レベルでマイニングを試してみたい方にはGPUマイニングの方がおすすめかもしれません。要は潰しが利くのがGPUマイニングという事になります。
もし本格的にマイニングをお考えならば、上記に挙げたメリット・デメリットなどを把握した上で判断される事を推奨します。
マイニングにおすすめのGPU(グラフィックボード)

3Dグラフィックス描写や高画質な動画を描写するのが大きな役割となるGPU(グラフィックボード)ですが、その中でもマイニング(採掘)に適したものが存在します。特にGPUマイニングをお考えの方には最初の購入価格は勿論ですが、下記2項目に注目して下さい。
重視すべき点は「計算能力」と「消費電力」。
マイニング投資において「最重要2項目」と言っても過言ではありません。本ページではマイニング(採掘)向きと思われる(GPU)グラフィックボードをいくつかピックアップしたいと思います。
※価格は常に変動します。また性能評価は個人的見解を含みます。参考程度にご参照下さい。
NVIDIA社「GeForce」系のGPU(グラフィックボード)
グラボ業界でも大手のNVIDIA社が手掛ける「GeForce」系はPCゲームを楽しむ世界中の人から支持を受けるGPU(グラフィックボード)となります。その為、もしマイニング(採掘)の稼働を止めてしまったとしても、相当な高額で売れてしまう可能性は高いでしょう。非常に需要の高いGPUとなります。
NVIDIA社「GeForce」GTX1070 性能評価

得意な仮想通貨 | ビットコイン(BTC)など |
計算能力 | ★★★★☆ |
消費電力 | ★★★☆☆ |
参考価格 | 51,040円 |
ゲーミングPCのGPU(グラフィックボード)として多く使用されています。処理性能が高い上に消費電力も控え目で、価格も入手難易度もそこそこの汎用性の高いモデルとなります。
NVIDIA社「GeForce」GTX1080 Ti 性能評価

得意な仮想通貨 | ビットコイン(BTC)など |
計算能力 | ★★★★★ |
消費電力 | ★☆☆☆☆ |
参考価格 | 133,000円 |
ゲーミングPCの中でも最高クラスのGPU(グラフィックボード)で、4K映像などのゲームはこのGPUがマストとされています。高性能な分、消費電力も高く購入価格も高額となる為、初期費用回収には手間取るかもしれません。
ATI社の「RADEON」のGPU(グラフィックボード)
NVIDIA社製品に比べると、人気は高くありませんが消費電力が少ない点や購入価格が低いので「マイニングに適した」GPU(グラフィックボード)だと思います。
マイニング投資で重視すべきは利回りですから、コスト削減は重要な点ですよね。仮想通貨マイニングにおいては、イーサリアム(ETH)のマイニングで利用される事が多いようです。
AMD「Radeon RX580」 性能評価

得意な仮想通貨 | イーサリアム(ETH)など |
計算能力 | ★★★★☆ |
消費電力 | ★★★☆☆ |
参考価格 | 41,500円 |
NVIDIA社のGTX1070が競合になる性能のGPU(グラフィックボード)となります。人気の仮想通貨イーサリアム(ETH)のマイニング(採掘)に強みがあると言われており、電気代コストも低い為、一時は入手困難になった程です。イーサリアム(ETH)のマイニングならオススメのGPUだと思います。
AMD「Radeon RX480」 性能評価

得意な仮想通貨 | イーサリアム(ETH)など |
計算能力 | ★★★☆☆ |
消費電力 | ★★★☆☆ |
参考価格 | 25,980円 |
性能はそれ程高くはありませんが、GPUの中でも安価なのが大きな利点です。初期費用が少なく済めば、それだけ早く原資回収が出来る訳ですから、気軽にマイニングを試したい方には一番オススメのGPUかもしれません。ゲーム用のGPUとしてもそこそこの性能なので用途も有ります。
AMD「Radeon Vega56」 性能評価

得意な仮想通貨 | モネロ(XMR)など |
計算能力 | ★★★★☆ |
消費電力 | ★★★★☆ |
参考価格 | 91,928円 |
性能はNVIDIA社のGTX1070以上でありながら、電力効率もこちらが上となっています。マイニング(採掘)を行う性能としては、消費電力などを考慮したランニングコストの面では優秀です。但し、それ相応に価格が高額な為に、初期費用が高くなってしまう欠点もあります。得意な仮想通貨マイニングはモネロ(XMR)などです。
GPUマイニング 比較まとめ
仮想通貨マイニングの世界では、ASICマイニングとGPUマイニングの間で熾烈な競争が繰り広げられて来ました。現時点では、ある特定のアルゴリズムにおいてはASICマシンの方が採掘成功率も上ですが、逆にある特定のアルゴリズムにおいては「ASIC耐性」の影響でGPUに軍配が上がる通貨も存在します。
何よりGPUマイニングはPCゲームや動画編集などで普段使用しながら、余った計算資源を提供するなどの用途でマイニング(採掘)する事が可能な点が大きなメリットだと思います。またマイニングを止めた場合の用途や需要の差からもGPUマイニングは「潰しが利く」利点もあると思います。
例えば、「SHA256(シャニゴロ)」のアルゴリズムでビットコインのマイニングを始めたいならASICマシン。イーサリアム(ETH)のマイニングならばGPUマイニングと、各々の得手不得手を理解した上でマイニング投資を考えた方が良さそうです。